「二度目の夏、二度と会えない君」 悲しく切ない物語に全俺が泣いた(ネタバレあり)
朝からブルーである。この記事を書いているのは土曜の9時。それより前に、朝5時台から老人の如く勝手に目が覚めてしまう俺は、「二度目の夏、二度と会えない君」を読んでいた。
もうね、悲しいことが起こるのが確定してて、それと向き合わなければいけない主人公=智の辛さったらないよ。高校生でこの経験味あわせる必要あるかい?ってぐらい。
設定は俗にあるタイムリープもの。一度目の夏の3か月を過ごし、後悔していた智が急にタイムリープに陥り、この物語のヒロイン=燐と出会うところに戻る。
タイムリープ前の記憶を持っている智は燐とバンドを組もうとする未来を避ける。しかし智に拒絶された燐の哀しい顔を見た時、その先に待っている運命を思った時、智は燐が最後まで笑顔で居続けられるように、一度目の夏と同じように振る舞おうと決心する。
だが、気持ちがついていかず曖昧な態度で燐に接することで、2人の距離には壁ができていた。
前回と違う言動、振る舞いに戸惑い、不安になる智。
燐がいつもバイタリティにあふれ、笑顔を絶やさなかった理由、それは隣に智がいたから。同じ心の距離だと思っていたから。
しかし、智には燐の気持ちが分からない。それは智と燐の最後の会話となったある言葉のせい。その言葉に隠されている意味が、あの時点では理解できなかった。
女子が智に告白する現場を見てしまった燐。そして「好きな人がいる」の言葉がすれ違いを生むことになる。
そして文化祭ライブの当日。燐の調子が出ない。一人にさせてほしいと言った燐の姿がどこにも見当たらない。
店主の助言もあり、屋上で見つけた燐と向き合う智。
もう悲しい思いをさせたくない。ただ、あの時と同じ後悔だけはしたくない。
智は「好き」という言葉以外の想いを燐にありったけぶつける。智の気持ちが分かった燐にようやく元気が戻り、ライブは無事大成功に終わった。
そして、最後の会話。あの時言ってしまった「好き」という言葉。それを必死に飲み込み、燐の前向きに生きて欲しいという言葉に、
「ああ、わかった」
と一言。
この一言を言うためだけに、二度目の夏を過ごしてきた智には、胸につまる思いがあった。
「好きだって伝えることが、必ずしも相手の為になるとは限らない」
この言葉が胸にささった。うん、ささったよ、っていつの間にかあらすじ紹介から自分の感想に移ってしまった。
悲しい未来が待っているを知りつつ、同じように振る舞うことなんてできないし、ましてや最愛の人。そんなんだったら最初から距離をとって辛い思いをしたくなんてない、でも燐の悲しい顔はみたくない一心で、結局、前回同様振る舞おうとする心情ったらないよ。
俺が智なら何度も泣いてるね。
分かっちゃいたが、結局、燐と智は両想いなわけで、ただ一緒にいられないから、「好き」という言葉だけは伝えられなかった。言われたら、先がない燐は絶望してしまうし、この先、一緒に生きていけない自分が申し訳ないから。
「ごめんなさい」
という返事も一緒にいたいけどいれないから、とか死んじゃうから、って言葉の意味を含んでいるんだろう。まあ、これは最初の段階で分かっちゃったけど。
二度目の返事。
「あたしもきっと、智君と同じ気持ちだったよ」
智はようやくここで理解するわけで、シチュエーションこそ違うが、何だかロミオとジュリエットを見てるみたいだった。
言いたいことも言えないこんな世の中じゃ、ってぐらい我慢していた智もここで号泣。俺も号泣。・・・・・・ごめん、ちょっぴりだけだった。
文章量自体はそんなに多くはなく、3時間ぐらいで全部読めるので、空いた時間なんかに気軽に読める。
最初のページに、登場人物の姿絵が描いてあるから、読んでて頭の中でイメージしやすいんだよね。キャラがどんな表情でしゃべってるのかとか、振る舞いとか。
アニメや実写にも向いてそうな話だなーと思ってたら、秋に実写化するんだって。見に行こうかな。号泣必死。
読んでよかった、と思える本なので、気になる人は是非読んでほしい。