「自分の人生を歩く」 日々徒然日記

「自分の人生を歩く」 日々徒然日記

行ってみた、やってみた、食べてみた、見てみたことを書き連ねるブログ。主にアニメ・マンガ・ゲーム・観光地・外食の感想中心

おっさん一人体験記 ~パラグライダー 前編~

晴れ渡る空、心地よい気温、そして目の前にそびえたつ富士山。近頃は雨ばかりの日々だったが、この日は雲ひとつない青空。絶好のパラグライダー日和だ。

 

やったことなんて一回もない。ましてやこの日を狙ったわけでもない。先月から有休を使って、今までやったことないものをやってみよう、ただそれだけ。その時の勢いで予約をし、日が経つにつれて、楽しみな気持ちのなかに憂鬱な気分が入り混じる。

 

そもそもパラグライダーなんて一人で体験するものじゃない、という純情な感情が1/3程芽生えだす。若い女性ならともかく、こちとら30後半のおっさんだ。白髪が最近目立ってきて動揺している年頃。本当に行ってもいいものかと、段々と不安になってくる。

 

僕が予約したのは、標高約1000mぐらいからのタンデム(二人乗り)と、小さい坂から一人で飛んでみるものの体験セット。どうせ他の参加者と混じるに違いない。そしておっさん一人は浮くんだろう。不安で皮脂も浮いてきた。

 

普段、何事も人の目を気にしないように心掛けているのだが、今回はかなり気になる。初めての分野だからだろうか。音楽のライブや外食などは全然気にならないのに。一時間半も早く目的地に着いたので、やることがなく、なおさら不安が募る。

 

講師が女性だったら気まずいな。でもおっさんも嫌だな。やっぱり若い女性がいいな。でも会話が続く自信がないな。舐めまわすように見てしまうかも。そんなことを悶々と考えている僕は会話が苦手だ。仕事の話だったら全然苦にならないのに、プライベートで例えば2人きりになったらどんな会話をすればいいのか、困ってしまう。

 

いや、ただ会話するだけならいいのだが、こんな話をしてても相手は楽しくないのでは?とか、うまく会話をまわせてない気がするな、そんな思いが段々しんどくさせるのだ。

 

それは態度にも表れる。その人と目を合わせないとか。そうすると、相手にも伝わるようで、やはり会話がもりあがらない。1分ぐらいだったら大丈夫なんだけど。ウルトラマンより早く、カラータイマーが鳴り響くのだ。これ以上は会話が持ちません、ってね。

 

それでもそこで留まっていたら、やりたいことがいつまでもできない。だから思い切って飛び込むしかないのだ。荒波だけど。周りはその波が穏やかだと感じているかもしれないが、自分にとっては荒波だ。イメトレの中での僕は溺れているばかり。

 

そうこう考えているうちに時間になってしまった。勇気を振り絞り、その施設に入ると、そこではおっさんが一人、せわしなく電話をしている。会話が終わるまで、おっさんの視界に入らないようにしてスタンバっていた。チキンな僕。

 

電話が終わり、タイミング良く話しかけると、とても感じのいいおっさんで、「昨日も明日も雨だからラッキーですよ~」とか「絶対楽しいですよ~」などニコニコしながら応対してくれる。何となくハードルが下がってきたような気がする。

 

書類を書いたり、パラグライダー体験のビデオを見た後、いよいよ誰かが迎えに来るのかな?と思いきや、目的地までは車で向かうらしい。もらった地図を片手に10分ぐらいの距離を走ると、草原みたいな広々とした場所についた。

 

おっさんがいた施設には誰一人として客がいなかったのに、ここには30台ぐらいの車が駐車されている。上を見上げると、いくつものパラグライダーが空を舞っている。

 

ちょっと恥ずかしさがありつつも、受付のおっさんに書類を渡す。この場所はパラグライダーの着陸地点であって、飛ぶ場所には車でさらに上へとあがらなければいけない。

 

けもの道のような狭い車道をバンで走る。対向車が来たら、対応できないような道で、途中がけ崩れした形跡を見てビビりながらも、目的地へと到着した。車内では自分一人とインストラクターと運転手の3人。運転手は気さくな方だったが、インストラクターの方は自分と話す気がなく、しきりに運転手に話しかけていた。僕と同じ人見知りなのだろうか。何も話していないのに嫌われた?僕がおっさんだからか!?

 

車を降りてしばらくすると、その人見知りのインストラクターがようやくこちらに向けて話しかけてきた。「体でかいな!何キロ!?」もしかして体重オーバー?なんて思ったが、そういうことではなく、体が大きい人用のパラグライダーを用意するためらしい。20kg間隔ぐらいでパラグライダーはサイズを変えた方が、思うように飛べるのだそうだ。

 

あと、やはり男性一人で来る人はあまりいないそうで、この言葉を聞いてからしばらくは動揺してた。気分はレイニーブルー。やっぱりそんな目で見られていたのか。

 

ふき流しで風向きを読み、向かい風の時に飛ぶといいらしく、しばらく風待ちだった。5分後、今がチャンスだ!と焦るおっさんインストラクター。と心の準備もままならないまま、いきなり飛ぶことに。飛ぶとなって、ようやく見た下はとんでもない高さ。めっちゃ怖い。

 

とっさにパラグライダーの死亡率を頭の中ではじき出すが、そんな計算はしたことがないので、解が分からない。でもニュースでやらないし、多分大丈夫なんだろう。インストラクターのおっさんの掛け声で、今年37歳、80kgのおっさん(僕)が駆け出すと、足が地面から離れだした。めっちゃ怖い。

 

 人間、飛んでしまうと後はどうとでもなれ、という気持ちになるものだ。宙に浮いてからは、落ちるかもしれない怖さよりも、風に流されて景色が歪み、船酔いのような感じになってくる恐怖のほうが勝ってくる。

 

正直、あと5分飛んでいたら、その場でリバースしていただろう。それぐらい目がまわった。施設では、よっぽど乗り物酔いする人でなければ大丈夫、例えば新幹線に酔うぐらい、なんて言っていたので、楽勝だと思っていたのに。よっぽどの部類だった自分が憎い。

 

というわけで景色を楽しめるわけでもなく、おっさんが何か説明していたが、それどころでもなく、ただただ、早く降ろしてほしいと心の底から願っていた。今年一番、願った。

 

カメラで何枚か撮ったけど、正直覚えていない。フラフラする頭と格闘しながら、近くにある道の駅にやっとこさたどり着き、トイレでリバース。午後からは一人での体験コースが待っている。帰りたい気持ちでいっぱいだが、これも何かの思い出になるだろう、そうポジティブにとらえてみた。

 

体力勝負になりそうだが、もちろん食欲はわかない。仕方がなく食べやすそうな野菜スティックとお茶を買い、胃に流し込むと、午後に備えて車内で仮眠をとるのであった。

 

後編に続く


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