ゲームと共に歩んできた人生 その6
働きたいけど、何をしたいか分からなくて前に進めない、職種リサーチをしたり、会社説明会で話を聞いても、ホームページを見ても、興味が湧かない。こんな状態を理解してくれとは言わないが、そういう人間もいるものだ。
もちろん、周りから見ると、ただただ根性なしだとか、遊んでいるように見えただろう。気晴らしにウイニングイレブンに没頭したり、フリースタイルのリフティングを練習したり。
何をやっても心の片隅では、働けていない、社会に置いてかれている、惨め、孤独だ、などの声が聞こえてくる。全部自分が作り出したものだが。何をやっていても心の底から楽しめることはなかった。
一度、無理やりにでも働いてみよう、そこから考えてみよう、とプログラミングの会社に応募した。1か月の試用期間があり、その間にC言語を使った課題をクリアすれば、正社員として雇ってもらえる。
会社に来て課題をやってもいいし、家でやってもいい、ということだったので、自宅でやることにした。これは正直、間違いだったと思う。孤独を感じ、プログラミングに面白みを感じない。アルゴリズムについて、誰にも相談できず、ずっと一人で悩み続けた。30日どころか、15日で課題は終わらせることはできたが、課題を持って行った翌日、僕は会社をずる休みをした。
その日は電話で一報を入れたが、その次の日からは無断欠勤を3日程続けた。このままではいけない。もう心の中では辞めることを決心していたが、会社に行くことを体が拒否する。何とか自分を奮い立たせ、社長にひたすら平謝りをして、僕はまた無職になった。
人間、しんどい時は現実逃避をしたくなる。このころになると、大学の奨学金を毎月2万ずつ返済しなければいけなかった。お金のない僕は、中古ゲームショップでプレステ2ではなく、もっと安く買えるプレステのソフトを買い漁っていた。
MOONとかいう知る人ぞ知るRPGをやったり、神宮寺三郎シリーズにハマったり。仕事では興味をもてない、なんて状態になるのに、ゲームではこれやってみたい、なんてのがちゃんと出てくる。不思議なものだ。ゲームに感化されて探偵になろうかな、なんて考えたこともある。
あと、兄貴の部屋にやるドラシリーズ第一作のダブルキャストがあって、こっそりやってみた。そしたら面白くてね、「季節を抱きしめて」と「サンパギータ」も買っちゃった。「雪割りの花」だけは絵柄が気に入らなくて買わなかったが。
やるドラシリーズは弟切草とかと同じ、文章を読んで選択肢を選んでいく形式だ。ちょっと違うのは絵があること、そしてその絵がアニメーションみたいに動く。当時は画期的で、アニメを見ているようで感動したんだ。そして選択肢を間違えるとすぐ主人公が死ぬw
シナリオボリュームも10時間ぐらいでクリアできるので、気軽にやれるのも、当時の自分には合っていた。あんまり長いゲームだと、早く就職活動しなくては、という焦りが出てくるから。
試用期間中でも正社員に向けて前進してた時は、劣等感は感じずに済んでたが、また無職というかフリーターに戻ると、劣等感を感じるようになっていた。
そして派遣スタッフへと戻ってきてしまった。もう戻らないぞ!と思ってたのに。悲しくなってくる。今思うと、派遣で働く分にはどんなジャンルでも断ることなんてないのに、正社員としては、選びに選んでいた。正社員に理想を求めすぎていたのだろう。そして青い鳥症候群に陥っていることに気付けない。
1年ぐらい続けたが、やはり心の中では正社員にならなくては、という焦りが募っていた。周りから置いてかれている、という劣等感は常にある。さらに僕の彼女は6歳年上だ。結婚の事を考える。なのに動けない。週1で職安に行き、就職情報誌を漁る、しかし興味はわかない。
ジェイックって会社で営業のセミナーというか、営業体験の説明会に行ったこともある。営業は向かないと本能的に感じていたが、やってみなくては分からないじゃないか、と自分を奮い立たせて行ってみた。
しかし、練習で飛び込み営業をするって話を聞いているうちに怖気づいてしまい、結局断念した。
こうなる時点で、営業なんて向かないのに、僕は正社員になることに焦り、またもや自分を奮い立たせ、条件の良かった営業職に応募する。
そして、奇跡的に受かってしまったんだ。