大井川鐵道を見てこよう その3
「すみませ〜ん。井川駅まで行って、ただ戻って来たいんですけど」
「井川駅には今行けないんです」
「!?」
「4日前に土砂崩れがあって、その影響で一駅手前までしか行けないんですよ」
「・・・・」
大ショックである。ってか駅メモで路線コンプできんやん。いやいや、やっぱ秘境なんだから、このぐらいのトラブルは付き物なのかもしれない。 なんて心の中でリトル本田が葛藤するが、何とか持ち直す。
「分かりました。そこまで行きたいです」
「周遊券が安くなりますので4400円です」
そんなこんなで、ようやく出会えた電車がこちら。
色がレトロ感出て、カワエエ〜!
2両編成の小汚い車内と背もたれが固く、座りごこちの若干悪い椅子、最高である。
12:19 出発進行。いつものように先頭車両の先頭に陣取る。
乗客は僕を含めても10人いない。さらに次の新金谷駅で数人降りた為、車内はガラガラである。平日なんてこんなものだろうか。ま、狙い通りだけどね。人いっぱいいたんじゃ、ローカル線の田舎っぽい雰囲気をリアルに感じられないしさ。
五和駅を抜けると、木々の間を抜けるようになってきた。片側が崖になってたりするので、そりゃ土砂崩れ発生で止まるわって思った。1駅1駅の距離は短い。原付きレベルの速度でも、今のところあっという間に着いてしまう。カメラに駅メモにブログに、と獅子奮迅の働き。めっちゃ忙しい。疲れた。
ここら辺から、ブログに手が回らなくなる。途中の駅から入ってきた地元のおっさんが話しかけてきたからだ。先頭車両でニヤつきながら、萌えキャラの映っているスマホを操作し、写真を縦横無尽に撮りまくる僕に、気兼ねなくおっさんは話してくる。
上尾駅には裸のたぬきがいっぱい居るから撮っておいたほうがいいよ、とか、右側にある、川の近くに裸のたぬきがいっぱいいる、とか。
基本、タヌキは裸だろうとか、裸を強調するのはなんでだ!?とか心の中でツッコミを入れながら、電車はどんどん進んでいく。
どうやら奥さんがこの先の駅にあるカラオケ広場に行ってて、そこに向かう途中らしい。途切れ途切れになりながらも、しばらくおっさんとの会話を楽しんだ。
おっさんと別れてからは、険しい道を走る電車の風景に集中する。片側は山、もう片側は川で崖になっており、確かに土砂崩れがあったらひとたまりもない。
でも、これが僕の望んでいた風景なのだ。自然に囲まれた場所を走る列車。大満足だ。
周りの目を気にせずら駅に止まると、開いたドアからひたすら写真をとる。右に左に忙しくポジションチェンジ。
そうしているうちに、あっという間に千頭駅へと到着した。ここからは、本線ではなく井川線に乗り換える。4分程しか猶予がないので、小走りで別ホームにある列車へと向かう。
同じような電車に乗るものだと思っていたら、車両の半分が窓なしの、トロッコみたいな形の列車がそこに鎮座していた。