ゲームと共に歩んできた人生 その7
職安でたまたま条件のいい会社を見つけた。休みも土日だし、給料もそこそこいいし。でも営業職。ちょっと不安だったけど、やってみなくちゃわからない、といつものように自分を奮い立たせ、応募した。
のちに会社から電話がかかってきて、日時・場所を教えてもらった。苦手な職務経歴書を頑張って書き、東京にある本社へと向かった。とても緊張しているが、うまくいかなくても別にいいや、と緊張を和らげようと暗示をかける。
かなり前に到着してしまったのだが、時間をつぶし、5分前に会社へと入った。
「あの~、本日面接をさせていただく、〇〇です。」
「えっ!?面接?」
「??」
「ちょっと待ってて。」
応接間のような場所で5分ぐらい待つ。しばらくすると、初老のおじいちゃんみたいな人がにこやかに入ってきた。どうやら常務の人らしい。この時、常務という役職がどのくらい高いのか、まるで分っていなかった。
「んじゃ、面接するか。」
「はい、本日はよろしくお願いします!」
「でもね、君、今日の面接場所、本当はここじゃないよ。」
「!!!!!!!」
面接場所は本社ではなく、支社、つまり配属されたいと思った横浜営業所で行うはずだったらしい。そんな話、言ってた覚え全然ないんだけどな。。。確かに言ったと言われ、押し問答になるのも嫌だし、印象を悪くしたくない。今さらだけど。
今日、横浜営業所では20名程面接をするらしく、僕だけ違う場所。完全に落ちた、と思った。なごやかに常務と話をする。緊張したけど、ちょっと諦め入っていたから、変な度胸がついていた。応募動機とか今までやっていたこととか、一生懸命話す。
20分ぐらい話して、後で採用結果出すから、と常務は話し、僕は会社を後にした。この時点で僕は次だ次!と完全に切り替えていた。いや、後悔もしていた。何できちんと確認しておかなかったんだろう。絶対に受からないな、これは。
そしたらね、何故か受かったw
営業所長はどうやら他の面接者が気に食わなかったらしく、そこで常務が面接場所を間違える馬鹿がいる、面白そうだと思って面接したら、結構気に入った、ということらしい。
でも本来、1次面接の合否を決めるのは営業所長らしいので、1日まるっと所長の営業に同行し、それで判断する、ということだった。要は2次面接、ということになる。それが受かれば、社長と面接して最終決断が下される。
メッチャ緊張した。とにかく返事はハキハキしよう。行動はキビキビしよう。笑顔を忘れるな!それだけは心掛けた。
そしたら、気に入られたw
心掛けていたことがハマったわけではなく、所長は僕と同じ金沢区出身だったんだ。高校どこか聞かれて、答えたら、すごいじゃないか!!と褒められた。それがものすごい効いてて、後の会話がスムーズにいったんだ。
「おまえ、気に入ったから採用してやる」
「ありがとうございます!」
多少、営業先で所長に怒られたが、全体を通しては問題なかったようで、最終面接へと進むことになった。いや、本当に縁ってどこにあるか分からないものだ。
最終面接は本社。きちんと確認したw
担当者である社長は正直、ボーッとしたような、物静かな人だったが、3分程の会話だけで合格をもらえた。えっ!?それでいいの!?
晴れて、僕は人生初の正社員となったのである。
この時、僕は26歳になっていた。